映画「君の名は。」感想

流行から遅れるのは、いつものことです。
今回の主題は「要素の詰め込み過ぎは、肝心な所が抜け落ちる」です。
*感想を言う都合上ネタバレがありますので、ご注意願います。

「体の入れ替わり」を前面に出された宣伝のもと、商業的にはどうやら成功している作品のようです。映画館の上映回数を見れば、ある程度分かります。万人向けのキャラデザインに光源を多用した美しい背景を見れば、興味が沸くのは必然です。

レイトショーで鑑賞したわけですが、感じたのが「要素の詰め込み過ぎは、肝心な所が抜け落ちる」ということです。シナリオ内容的には1クールから2クールほどの長さが必要な作品でした。あれほど宣伝していた「体の入れ替わり」の描写は、まさかの主題歌3分間の間だけで、その短い間で主人公とヒロインの関係性を知るには、あまりにも短すぎです。あたかも好感度マックスから始まる恋物語という体裁で、入れ替わり要素から期待した主人公たちの成長を感じることが出来ませんでした。

そんな中、物語は空に輝く彗星を軸に新たな展開へ向かうのですが、やはり要素の詰込みが全体を薄くしてしまっています。「入れ替わり」だけでも十分大きな要素なのに、時間トリックによる「タイムリープ」を加えてしまい、さらに「二人の恋物語」から「村の存亡を守る」という英雄伝へと向かいます。そういった要素を全て積み込むには2時間では到底足りるわけがありません。物語終盤でヒロインが父親を説得するという場面があるのですが、その詳細はまさかのバッサリとカット。入れ替わりによることの成長姿を期待していたのですが、残念なことに肩透かし。入れ替わり現象の原因も語られることなく、ハッピーエンドだけを見せつけられる。なぜ記憶が忘却してしまうかすらも分からないまま、ただ恋人を想い、エピローグで偶然の再開を果たし、二人は叫びます。「君の名は。」と。

設定集なんかで、もっと深い背景があるのかも知れません。しかしプロットをなぞっただけのシナリオでした。きっと全24話程度で表現することが出来たのなら、多少の評価が出来たことでしょう。要素一つ一つは既に他の作品で語り尽くされています。俗にいう「王道」というもので、私自身は嫌いではありません。シナリオや内容は似ていたとしても、その表現方法にオリジナルがあるなら、それは個性となります。しかし要素を詰込みすぎた結果、その一つ一つが薄くなっており、総評としては「素材自体は良いものの、残念な仕上がり」でした。

最後に「洞窟の中で3年間も熟成させた恋人の唾液を、躊躇なく飲むことが出来る人」には非常にお勧めですので是非足を運んではいかがでしょうか。


IMG_2868a.jpg

関連記事
スポンサーサイト
Category: ハナヤマタ
Published on: Thu,  22 2016 19:25
  • Comment: 0
  • Trackback: 0

0 Comments

Post a comment