ドール恋愛記【04】二人きりの時間

なんだか小説っぽくなっていますが、ごめんなさい、確信犯です。
今回の主題は「人の価値観は自分が思う以上に多様である」です。

彼女の部屋はお世辞にも綺麗と評価することは出来ませんでした。彼女の部屋で宅飲みすること自体は初めてではありません。飲み会の輪の中心にいることが多い彼女は、男女問わず部屋に招き入れ、朝日が差し込む時間まで会話が途切れることはありませんでした。

今回もまた同様に脇に転がる空き缶と空き瓶に、山盛りになったタバコを捨ててから三次会が始まりました。ただし交わされたグラスは二つだけという事だけは、いつもと違う点でした。彼女の唇に運ばれるグラスを脇目に、それでも私は疑っていませんでした。彼氏持ちとはいえ彼女にとって、深夜に自分の部屋で男女二人きりで飲む行為は、二股に当たる行為ではないのである。普段の彼女から滲み出る自由奔放によるものだ。アルコールでまどろんだ意識の中、そう考えました。

日付を跨いで行われた会話のうち、同じ内容を何度も繰り返したことでしょう。身振り手振り使って、腹を抱えて何回も笑いあいました。たわいのないアニメの話から少しシリアスな恋話まで、お互いの恥ずかしい過去を面白可笑しく語り合いました。

それでも深夜4時を超えた時点で会話よりも沈黙が占める時間が多くなっていました。酒豪である彼女の、その細い指でタバコの灰を皿に落とす姿は飲み始めた頃のままでしたが、人並みにしか酒を飲むことが出来ない私のまぶたは今にも閉じてしまいそうでした。彼女の家から私の家まで自転車で20分はかかります。大学の講義は欠席だなと考えながら、重い腰を上げた、その時でした。

――泊まっていきなよ。

泥酔していたとはいえ、私の脳は断るべき事柄であるという判断をするだけの余力は残っていました。それに失礼な話ではあったのですが、その清潔とは言えない彼女の部屋で寝るよりも自分の布団で寝たい気持ちがありました。それでも上着へ手を伸ばそうとした時には、もうすでに酒の乗った机は台所へ片づけられ、敷布団がセットされていました。一人暮らしなのに布団が二枚ある理由を聞いてみたところ、飲み会の会場になる都合上、部屋で泊まっていく人が多いからと説明されました。

というわけで、その日私の純潔は失われてしまうのですが、今回はここまで。
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Category: オリジナルドール(アイペイント)
Published on: Sat,  26 2016 19:00
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